2012年4月19日木曜日

死ぬまでロケンロール!とロッカーたちは言うけれど。~西田浩『ロックと共に年をとる』




若者音楽の代表選手だったロックも、1950年代の誕生からかるく半世紀。

ニューリリースされたCDを買ったりコンサートに出かける50,60代が普通にいて、もはや若者のための音楽とは言えなくなってるわけです。

昔のオトナたちはロックなんか若いうちだけのものでトシをとれば演歌がよくなるんだみたいなことを言ってたもんです。ま、ロックでも演歌でも好きなものを聞けばいいわけなんですが…。

聴く方も年をとったけど、それはやってる方も同じ。ロックミュージシャンというと若死にのイメージだけど、(残念ながら)長生きしちゃったロッカーは60間近になったいまでもステージで腰を振りながらラブソングを歌っている。その姿に同世代の人間たちが拍手や歓声をおくる…そんな光景を誰が想像したでしょう(笑)。

本書『ロックと共に年をとる』(新潮新書)の著者西田浩氏は学生時代からロックにハマり、新聞記者となって長年文化欄を担当。仕事で日常的にコンサートへ足を運び、来日ミュージシャンのインタビューも数多くこなしてきた方です。年齢的には私と同じくらい。

不良の象徴だったロックがしだいに人気を獲得し主流となってきたところへ、ふってわいたパンク・ムーブメントでふたたび反抗心を取り戻し、MTV時代の80年代にはロックもひたすらオシャレを追求、90年代に隆盛したグランジが影をひそめたあとは化石と化していたオジさんロッカーが復活する…。筆者がウォッチングしてきたロックの歴史は自分にも手に取るようにイメージできます。

筆者が大物アーティストに取材したウラ話も満載で、仕事をはなれ、いちロックファンとしての素顔がのぞけ、読んでるほうもニヤリとしてしまいます。いいなー業界人。

本書が指摘するように、解散したバンドのリユニオンなんてかつては考えられなかった。昔の名前でニューアルバムを出して世界ツアーを組んで日本にも来るとなれば青春時代ロックにハマっていた層が動くのも当然です。若いころよりお金もあるし。ない人もいるか(笑)。

不良の音楽だったはずのロックがキバを抜かれ、皆から愛されるエンターティメントのひとつに成り下がる傾向には一抹の疑問も感じますが、好きだったアーティストが見られるとなれば嬉しいもの。

僕も10代の頃から聴き続けていたフェイバリットのミュージシャンたちのライブに、ようやく最近になって足を運ぶようになりました。ビリー・ジョエル、ジャクソン・ブラウン、イーグルスなど。若いころはマメにコンサートへ通える経済力もなかったし、いま見とかないと、もう見れないかもしれないし(笑)。会場も以前のような不良の集まりっぽい殺ばつとした雰囲気はなく、もはやすっかり大人のための娯楽の場です。

まさに時代は変わる…。



2012年4月16日月曜日

ブンガクの神は人の上に人をつくらず ~原田宗典『おまえは世界の王様か!』


初回はやはり書評本を。書評というよりも著者が無名時代に書いた読書感想メモを原文そのまま掲載した大胆な一冊だ。

とにかく辛口コメントのてんこ盛り。
なんせ著者がまだ文筆家ですらなかったときの、一般公開を想定せずに書かれたもの。なので古今東西の名作も


~「三島由紀夫『近代能楽集』、駄作だ。最悪の出来だ」

~「安部公房『飢餓同盟』、脇役的登場人物が類型的になってしまっている気がする」


と、一読者の目線でバッタバッタと斬って捨てられている。まさに読者は王様、あんたが大将。

功なり名を遂げた現在の著者では、こんなビッグマウスはとても許されないでしょう。
たとえ相手が大作家という権威的存在であろうと互角の立場で対峙し、それがどーした的に一蹴する向こう見ずさは若さのたまものです。

きっと若き原田氏には、文学に対する100パーセントの信頼があったのでしょう。
プラトンの真・善・美というイデーのように、この世界の一段階上層には文学の神のような普遍的存在がおいでになり、その神は評価の定まった文豪だろうがまだ何者でもない一青年だろうが、ブンガクの名のもとに平等に扱ってくれるはずだ、という…。

いまとなってはすべて若気の至りと原田氏は当時の自分を振り返り、しきりに恐縮してみせていますが、過去の姿をストレートに晒してしまう勇気には打たれます。

実は私もWEB上の某読書記録サービスに、これまで読破した本と読後感想のメモ三十ウン年分をヒマを見てコツコツ打ち込んでおります。

中学生だった頃の自分の記述は当然非常につたないもの。このコメント部分の扱いをどうするか少し悩みましたが、すべて当時のままUPすることにしました。これはあくまでその時点での感想で、絶対的評価ではないのだからと…。

そうはいっても多くの目に触れる可能性のあるWEB上にUPするのは、原田氏と同じぐらいの勇気がいる。
『お前は世界の王様か!』はそんな私の背中を押してくれたと言えるでしょう。

ひとつ気がかりなのは、私の中学時代の読書コメントをネット上で見た誰かが
「こいつの読みは浅い!」とか思ったらどうしようということで、

「いえ、なにぶんこれは自分が厨房だった頃の文章なので」と弁解するしかありませんね。ま、いまだに中二病みたいなものですけど…。





2012年4月14日土曜日

ごあいさつ。




本好きのためのサイト『本のある時間』に、読書について書いた文をUPしていましたが、

去年末にその投稿コーナーが終了してしまいました(サイト自体は存続http://www.timewithbooks.com/)。

以後、本に関しては個人ブログでもほとんど書いていなかったのですが、

このたび新たに本の話題専用の場所をつくりました。

ここんとこ読書量が激しくダウンしているので、

こちらに読んだ本の感想を書くことで、また読書へのモチベーションを上げていきたいと思っています。

せっかく心機一転するので、気分を変えてbloggerさんのお世話になることにいたしました。bloggerユーザーのみなさん、よろしくお願いいたします。

書評などというだいそれたものではなく、ざっくばらんな本に関する雑談というスタンスです。読書から派生して映画、音楽など他のジャンルについても触れていきたいです


本好きのみなさん、おつきあいください。