『東京日和』、杉浦日向子とコラボした『東京観音』など、アラーキー氏には東京を題材にした作品集がいくつもあるが、
なかでもこれは「猫」がテーマ。
一見ふつうに街並みを撮った何の変哲もない写真のように見えるが、
よーく見るとどの写真にもワンポイントのように猫が写りこんでいる。実にまあ、彼ら(彼女ら)の風景に溶け込んでいること。
猫というのは、非常に敏感な動物なので
カメラを向けていることがばれると逃げられてしまう。
なので、とんでもない「引き」で撮ったり、画面の隅にさりげなくフレームインさせているのだろう。苦労がしのばれる。
しまいにページを開くたび、目を皿のようにして
さて、猫はどこに…と「猫探し」が始まってしまう。ウォーリーをさがせ!みたいな写真集なのでした。
ついには宅急便のクロネコマークまで登場する始末(笑)。ユニークなのはマンションの猫専用階段。こんなの初めて見た。
バブルがピークを迎えた90年代初頭とはいえ、東京にはこの作品集で見られるような懐かしい街並みが残っていたんですね。
あとがきでアラーキー氏は「猫がいる町はイイ町」と書いている。
そういえばバブル後のきれいに再開発された通りには、あまり猫の姿を見かけないんだけど…と少し気になった。