2012年6月20日水曜日

この親にしてこの子あり…?~ブルース・オズボーン『OYAKO』



 この写真集に収められているのは、有名人、一般人を問わずたくさんの親子を写したモノクロ写真の数々。

はじめはパンクロッカーとその母親という意外性を狙ったところからスタートした企画だったそうだ。しかし平凡な庶民であっても十分ドラマ性が伝わってくる。本書の序文の「いろいろな親子がいて全部ちがうことが面白い」という言葉どおりです。


カメラのレンズの前にならんだ二人は、おそらく別々に見れば親子とは気づかれないにちがいありません。服装も外見もちがう、おそらくふだん生きてる世界も全然ちがうのでしょう。なのに、なぜか両者のあいだに通い合うものが感じられるのは、やっぱり「親子だから」の一言に尽きますねー。白バックに二人の人物だけというシンプルな構図も、互いの関係性を映し出すのに最適なのかもしれません。

オズボーン氏はこのポートレイトをライフワークとして続けており、登場した親子の中には時を隔てて十数年後にふたたび二人で写真に納まっているケースもある。二枚の写真のあいだに流れた年月や親子の歴史を感じさせる一方で、時がたっても変わらないものも感じさせます。

以前ライターの仕事で、この写真集をつくったブルース・オズボーン氏の撮影現場にお邪魔しました。オズボーン氏は被写体となった親子をリラックスさせるため終始陽気に振る舞い、ポジティブなエネルギーに満ちた人柄がうかがえました。撮影を手伝う娘さんの姿もあって、常に同行しているのだとか。オズボーン氏の写真から伝わってくる温かさの理由がなんとなく分かりました。





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